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エンゲージメントという言葉をご存じでしょうか。
一般的には「婚約」という意味で使われることが多いですが、人事の分野では企業と社員とのつながりや信頼関係を指して用いられる言葉です。
「そもそもエンゲージメントって何のこと?」
「エンゲージメントが低く、次々に社員が辞めてしまう…」
「従業員満足度とは違うの?どうしたら上げられるの?」
といったさまざまな思いや疑問をお持ちの方のために、今回はエンゲージメントについて下記の5つを詳しく解説していきます。
- エンゲージメントの意味
- エンゲージメントが注目されている理由
- エンゲージメントを上げるメリット
- エンゲージメントを高める方法
- エンゲージメントの測定方法
エンゲージメントとは?
エンゲージメントとは従業員と企業のつながりの強さや信頼関係を表す言葉です。
似た意味の言葉に「従業員満足度」や「ロイヤルティ」といった言葉がありますが、従業員満足度とは企業の労働条件や待遇にどれだけ満足しているかを意味するものです。
そしてロイヤルティは企業に対する忠誠心を表す言葉なので、どちらもエンゲージメントとは違うものだといえます。
エンゲージメントが注目されている理由3つ

なぜエンゲージメントが注目されているのか。それは変化してきた社会情勢や働く人々の価値観などから以下の3つの理由が考えられます。
理由1.労働人口の減少
毎年定年退職で辞めていく社員は多い反面、少子高齢化が進み入社してくる社員の数は減少傾向にあります。
必然的に労働人口も減少し続けているので人手不足に頭を悩ませている企業も多いことでしょう。
エンゲージメントを高めることは人材の流出を防ぐためにとても有効な手段です。
理由2.高まる人材の流動性
多くの企業で終身雇用や年功序列の制度が崩壊し、成果主義の考え方が広まってきています。
一つの企業に勤め上げるという概念がなくなりキャリア採用が増えたことで、転職に対するハードルが下がり、転職人口は年々増加しています。
エンゲージメントを高めると既存社員が知人や友人に入社を勧めやすくなり、転職潜在層にもアプローチできるリファラル採用の活性化が期待できるでしょう。
理由3.働き方の多様化
従来は企業と社員が主従関係にある場合が多く、社員は多少の理不尽も受け入れて会社に奉仕することが美徳だという風潮が強くありました。
しかし近年では働き方改革が推進されていることもあり、企業と社員の関係は対等であるべきという考え方から、個々のニーズやライフスタイルに合った働き方の提案が求められています。
エンゲージメントを高めることで得られるメリット3つ
従業員のエンゲージメントを高めることによって得られるメリットは様々なものがあります。
ここではメリットを3つご紹介しましょう。
- メリット1.社員モチベーションの向上
- メリット2.離職率の低下
- メリット3.企業利益の向上
社員モチベーションの向上
エンゲージメントが向上すると社員の企業に対する愛着が強くなるので、もっと企業に貢献しようという気持ちが高まりモチベーションが向上します。
そしてモチベーションが向上すると社員自身が主体的にスキルアップを目指すようになってキャリア自律度が高まります。
企業側が成長したいという気持ちに応える姿勢を見せていけば、より信頼が深まるのではないでしょうか。
離職率の低下
給与や労働条件が良いだけでは、より良い条件の企業が見つかった場合に離職してしまう可能性が高いです。
エンゲージメントが高いということは、他のどこでもなく今の企業で働くことにやりがいや喜びを見出している状態です。
エンゲージメントが高い社員は企業に対して「好き」「もっと貢献したい」という気持ちが強いので、余程の事情がない限り離職しようと思うことはないでしょう。
離職率が下がって定着率が上がると、採用や育成にかかる時間と負担が軽減できるというメリットもあります。
企業利益の向上
上述したように、エンゲージメントの向上によるメリットは
- 社員のモチベーションが向上する
- 離職率が低下する
この2つの効果によって同じメンバーで、かつ同じ時間でできる作業が増えて業務が効率化されます。
その結果生産性も上がっていくので企業の利益向上や発展につながります。
エンゲージメントを高めるポイント3つ

ポイント1.ビジョンを共有する
経営理念やビジョンを共有することは、社員と同じ方向を向いて進んでいくためにとても重要です。
それぞれが違う方向に歩いていけば、組織はバラバラになってしまいます。
経営陣で決めたビジョンを一方的に落とし込む方法では、形だけになってしまって浸透しないという事態に陥りがちです。
そのため、近年では社員参加型でビジョンを共に創り上げていく方法を取り入れる企業が増えてきました。
社員参加型でビジョンを創る具体的な方法としては
- 社員個人がどうなりたいか
- 社員が企業にどうなってほしいか
を個人ビジョンとしてあげていってもらいます。
そして個人ビジョンを達成するにはどうすればいいか?という議論から、個人ビジョンと企業の利益とのつながりを理解してもらえるはずです。
企業全体で創り上げたビジョンであれば目指す目的をはっきりと理解しているので、モチベーション高く業務に取り組めるでしょう。
ポイント2.信頼関係を築く
信頼関係なしにエンゲージメントを高めるのは至難の業です。
信頼関係が築けていると、業務の中で
- 失敗を恐れずに挑戦できる
- 遠慮なく発言や提案ができる
- 欠点を補いフォローし合える
- 疑問や問題点を早期解決できる
といったメリットがあります。
心理的安全性が確保されてコミュニケーションが円滑にとれるので、エンゲージメントだけでなく生産性も向上して成果が出やすくなるでしょう。
ポイント3.職場環境を整える
エンゲージメントは職場環境の良し悪しにも大きく左右されます。
そのため社員のニーズやワークライフバランスを考えた制度や福利厚生の見直しが必要です。
そのためにできることは
- 業務を効率化するためのツールを導入する
- 定期的にスキルアップや今後のキャリアについて考える機会を設ける
- 上司の価値観や古くからの慣習が悪影響を与えていないか調査する
- 社員に合わせて短時間勤務やフレックスタイムの導入を検討する
- キャリアデザインの支援を行い、その過程で各社員の価値観を理解する
などがあります。
なるべくストレスや負担を軽減する取り組みや、やりがいをもって働けるような仕組みをつくることが求められています。
エンゲージメントの測定方法

「エンゲージメントを高めるポイント3つ」では3つの観点からエンゲージメントを高める方法をご紹介しました。
その3つの他にも、社員のエンゲージメントを測定して現状把握と課題解決によってエンゲージメント向上を目指す方法があります。
エンゲージメントを測定することをエンゲージメントサーベイと呼び、エンゲージメントサーベイには多くの種類があります。
今回は代表的な
- センサスサーベイ
- パルスサーベイ
この2種類をご紹介します。
センサスサーベイ
- 調査頻度 年1、2回程度
- 設問数 50~100問程度
設問の数が多いため詳しい調査が可能な反面、社員が調査にストレスを感じて回答率が下がることが懸念されます。
そして回答の分析から浮き彫りになった課題への対策を考えて実行に至るまでかなり時間がかかるので、一回実施する毎の負担は大きくなりますが多角的な視点からの調査が可能です。
パルスサーベイ
- 調査頻度 週1回~月1回程度
- 設問数 5~15問程度
調査頻度が高いので習慣として取り入れやすく、変化に対応するスピードが上がることはメリットの一つといえます。
ですが、結果に対してフォローがないとマンネリ化してしまう可能性があります。
「何が知りたくて」「どういった問題があるから」調査をしている、という目的をはっきり社内に周知して行うようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
エンゲージメントが下がると多くのデメリットを生みますが、上げられればメリットしかありません。
エンゲージメントを高めるためには
- 共感できるビジョンを共に創る
- 強い信頼関係を築いていく
- 職場環境を働きやすく整える
- エンゲージメントサーベイを行う
上記のような施策ができます。
企業が発展していくためには社員の協力が必要不可欠であり、エンゲージメントが高いほど協力的になってくれることは間違いないでしょう。
エンゲージメントが高い企業を目指して、今できることから始めてみませんか?