
リファラル採用とは新たな人材を社員に紹介してもらう採用手法です。
近年コストの削減や人材不足の解消を目的に導入する企業が増えてきました。
しかし成功させるための仕組みを理解せず社員に丸投げしてしまうと制度が社内に浸透しないまま失敗に終わってしまうことも多いです。
本記事では
- リファラル採用の意味と注目される理由
- リファラル採用のメリット・デメリット
- 失敗しないためのポイント
- リファラル採用の専用ツール
- 成功した企業事例
上記について解説していきます。
「リファラル採用って何?どんなメリットがあるの?」
「リファラル採用を導入してみたけど、思うように紹介数が増えない…」
このような疑問や悩みを抱えている方はぜひ最後までご覧ください。
リファラル採用とは何か?定義を解説

リファラル採用とは既存社員の紹介によって人材の採用を行うことです。
リファラル(referral)は「推薦」「紹介」といった意味を持っています。
既存社員が一緒に働きたいと思った知人や友人を自社に推薦し、条件が合えば採用となります。
よく聞く「縁故採用」や「コネ採用」と混同される方がいるかもしれませんが、リファラル採用は採用候補者のスキルや適性を踏まえたうえで合否を判断します。
ただ面識があるからという理由で簡単に採用してもらえるものではないのです。
リファラル採用が注目されるのはなぜか
リファラル採用が現在注目されているのは、導入することによって
- 人材不足
- ミスマッチが多い
- 定着率が低い
これらの問題を解消できると広く知られるようになったことが理由と考えられます。
売り手市場で採用自体が難しいなか、採用できても求めていた人材と違っていたり早期離職してしまったりすることも多くあります。
リファラル採用は即戦力となる優秀な人材とのマッチングの精度が高く、コストは低く採用できるといった魅力があるため積極的に取り入れようとする企業が増えています。
リファラル採用のメリット5選
ここでは、リファラル採用を行うことで得られるメリットを5つご紹介します。
- 採用人材のマッチング率向上
- 社員のエンゲージメント向上
- 転職潜在層にアプローチ可能
- 採用プロセスを簡略化
- 採用コストの削減
メリット1.採用人材のマッチング率向上
不特定多数に求人広告を出す方法では自社が本当に求める人材を採用できないこともあるでしょう。
リファラル採用なら求める人材像を社員としっかり共有することで希望に合った人材を採用できる確率が高くなります。
メリット2.社員のエンゲージメント向上
そもそも社員に企業への愛着や仕事に対するやりがいがなければ誰かに一緒に働くことを勧めようとは思わないはずです。
リファラル採用を取り入れることで社員が今一度、経営理念や今後の方針、社員自身の役割についても考え直すきっかけになるでしょう。
社員が企業への理解を深めることができれば、企業と社員との結びつきが強くなり自然と紹介につながりやすくなります。
メリット3.転職潜在層にアプローチ可能
「もっといい条件の会社があれば転職しようかな」と、転職が頭に浮かんでいても行動に移していない「転職潜在層」といわれる人たちがいます。
副業・転職マッチングSNSを運営する株式会社YOUTRUSTが2021年7月に転職予備軍に関するインターネット調査を行いました。
その結果から積極的に転職先を探している転職顕在層は9.5%であり、転職潜在層は61.1%存在するということがわかりました。※1
全体の6割を占める上、獲得競争が少ない層にアプローチができるという点は大きなメリットといえるでしょう。
メリット4.採用プロセスを簡略化
通常の採用活動では書類選考や面接の日程調整、会社説明会の準備など多くのタスクに追われることになります。
リファラル採用ではその手間や時間を削減することができ、採用担当者への負担も軽減します。
メリット5.採用コストの削減
リファラル採用にかかるコストは社員へのインセンティブや紹介活動にかかる交際費のみです。
求人広告の掲載費や人材紹介サービスの紹介料は必要ありません。
従来の採用活動にかかる費用、時間と労力を考えればリファラル採用を導入した方がコストパフォーマンスが高いといえるのではないでしょうか。
リファラル採用のデメリット3選
リファラル採用のデメリットは次の3つが考えられます。
- 採用までに時間がかかる
- 人材が偏ってしまう
- 紹介がインセンティブ目的になってしまう
デメリット1.採用までに時間がかかる
急募しても優秀な人材がなかなか見つからない場合もあります。
候補者が見つかったとしても、転職潜在層は転職を決意している段階ではないので決断に時間がかかることもあるからです。
そして優秀な人材であるほど現職を辞めるまでに時間を要する傾向にあります。
デメリット2.人材が偏ってしまう
人材の選定が社員の個人的な判断で行われるため、似たような思考や特性の持ち主が集まる可能性があります。
企業の経営によい影響を与えてくれれば助かりますが、人材の多様性が損なわれたり、議論の際に意見が偏ってしまったりすることもあるかもしれません。
デメリット3.紹介がインセンティブ目的になってしまう
インセンティブにより紹介を促す方法があります。
その場合、金額をあまり高額に設定してしまうとインセンティブの獲得が目的になってしまう可能性があります。
企業が求めるスキルやポジションをよく知らない社員が、不確かな情報を友人や知人に伝えてしまうとミスマッチが起こってしまいます。
リファラル採用を成功へ導くポイント3つ

リファラル採用を成功させるためには、大きく分けて3つのポイントがあります。
- リファラル採用を進めるための仕組みをつくる
- 一般社員にも採用活動の知識をつけてもらう
- リファラル採用の目標や成功体験を共有する
1.リファラル採用を進めるための仕組みをつくる
リファラル採用を活性化するには「そのうち誰かが紹介してくれるよね」と期待して待つのではなく社員が積極的に取り組めるような仕組みをつくりましょう。
具体的には
- 紹介候補者をリストアップする
- 紹介人数の目標設定をする
- 候補者情報を入力するフォーマットを作成する
- 企業紹介や募集要項をまとめたページを用意する
以上のように行動の動機付けをすることや行動しやすいように紹介フローを簡略化すると効果的です。
2.一般社員にも採用活動の知識をつけてもらう
一般社員は人事や広報の社員と比べて自社の魅力について考えたり誰かに伝えたりする機会が少ないはずです。
いきなり誰か紹介してくださいと言われても一般社員からしてみれば紹介の仕方もよくわかりませんし、人事の仕事を押し付けられたように感じてしまうかもしれません。
そのためリファラル採用の目的やメリット、自社の魅力をどのように紹介するのがよいかということを一般社員にも理解してもらう必要があります。
講習を設けて採用活動について学ぶ機会をつくるのは、どうでしょうか。
自社の方針や考えを知るよいきっかけにもなるはずです。
3.リファラル採用の目標や成功体験を社内全体に共有する
リファラル採用を自分事として感じてもらえるようにする工夫が必要です。
以下のポイントを意識するだけでも社内の認知を高められますし、「自分も誰か紹介してみようかな」と社員の行動を促すきっかけにもなります。
- 空きポジションや採用基準を共有する
- 進捗状況をこまめに社内全体に共有する
- 成功事例を社内報や社内HPに掲載する
- 社員が集まる場で紹介者を表彰する
リファラル採用を効率化するおすすめツール2つ

1.Refcome
リファラル採用を支援してきた実績は850社以上。
蓄積された豊富なデータとノウハウをもとにアドバイザーがサポートしてくれます。
また社員のエンゲージメントを測定できる機能を備えており、正社員から派遣社員・アルバイトの採用にも対応可能です。
2.MyRefer
国内初リファラル採用ツールとしてリリースされ500社以上の利用実績があります。
退職者にコンテンツを提供することで出戻りの応募にも対応。
メールやSNSを通じてワンクリックで紹介完了できる手軽さが魅力です。
Refcomeと同じくアルバイト採用にも利用できます。
リファラル採用の企業事例をご紹介
トヨタ自動車
2020年から転職潜在層へのアプローチを目的にリファラル採用を開始。
導入当初は社内HPや労働組合の会報誌へリファラル採用の情報を掲載するのみでしたが7万人を超える社員に普及することは難しく、ツールを導入しました。
- 紹介ステップをPOPにする
- ツールの使いやすさを伝える資料を作成
- ツール内の社内ニュース機能を活用
このような情報発信を試みた結果、社内認知が高まり従業員のツールアプリ利用率は40%に向上しました。
部署内だけでなく他部署の職種を紹介する事例も増えたようです。
freee
2012年の創業時よりリファラル採用を実施。
生産性向上のためにリラックスして働けるようなオフィス設計に注力していたそうです。このことで知人や友人を自宅に招くような気持ちで、気軽に入社を勧めやすい環境となり、結果的にリファラル採用を活性化させることにつながりました。
リファラル採用のデータを可視化して、効率的にPDCAを回すことやリファラル採用を持続化させることを目的にツールを導入。
ツールの導入によって社員への紹介依頼をはじめとするオペレーションが統一でき、業務の効率性が高まったようです。
まとめ
今後はさらに人材の流動性が高まると考えられており、リファラル採用は転職潜在層を獲得するための有効な手段といえます。
しっかりポイントを押さえて取り組むことで
- 紹介した社員
- 採用された候補者
- 採用した企業
三者すべてにメリットがあり、利益をもたらすことができます。
ツールを使用すればデータ分析や負担の軽減も可能ですので、この機会にリファラル採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※1 参考URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000040832.html